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photo:Frank Hallam Day
米ワシントンDCを拠点に活動する写真家フランク・ハラム・デイ(Frank Hallam Day)による船体の写真です。撮影地は、アフリカはナリジェリアのラゴスとカメルーンのドゥアラです。もともとはこれらの町の港に廃棄された船がたくさん座礁しているとの情報を聞きつけたデイが、それを題材に写真を撮ろうと出かけたものでした。数ヶ月もかけて廃棄船を撮影している内に、毎日現場まで小舟で往復する途中に見かける(現役の)貨物船の横腹に興味を持ち、被写体としての可能性を感じるようになりました。
デイの考えでは、これらはあくまでも廃棄船を撮影した後のおまけのようなもので、被写体としては前者の方が興味深いそうですが、一般の鑑賞者には船体の写真の方が圧倒的に人気があるということです。

デイは過去に米国の外交官として勤務していたことがあり、各国を出張で巡ったそうですが、その当時から撮影にも熱心に取り組んでいました。西洋から導入した事物が壊れたり、挫折したりし、違った方向へと変化して行く様を追うという、サハラ以南のアフリカをテーマとした作品群があるのですが、今回の船体の写真もその中に位置づけることができます。もっともそれには廃棄船の方がうまく当てはまるし、船体の写真の方は、テーマに基づくというよりは、ただ単に美的に優れているといったものがかなりあるということです。そのようなわけで、これらの写真はデイの作品の中でも被写体の美的側面が強調されたものとなっています。

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All photos: Frank Hallam Day
カメラのファインダーに切り取られた部分が一枚のキャンバスのようになっていて、そこにさまざまな質感を持つ要素からなる抽象画を描いたような作品に仕上がっています。工場などでもそうですが、産業製品にでも何にでも、美を見出す隙さえあれば美を見出す、人間の感性の働き方というのは本当に興味深いですね。アフリカの抱える、経済的文化的矛盾といったものを体現しているはずの貨物船。その横腹を切り取ると、いろいろな背景など一切関係なしにそれだけを見て美を感じてしまうのですから。

via: Frank Hallam Day | Ship Hulls
via: feature shoot