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1950年代後半のことですが、イタリア人のユディカ・コルディーリア兄弟 (Judica-Cordiglia brothers) は実験的な無線傍受局をトリノ郊外に設置しました。トーレ・ベルトという場所にある、旧ドイツ軍の防空壕を改造したものでした。その無線傍受局にさまざまな装置を持ち込み、改造したりして、ソ連やアメリカの宇宙開発計画に関連する通信を傍受することに成功したと兄弟は主張しました。

1961年5月23日、兄弟は奇妙な通信を傍受しました。

Kosmonauta from Nils Eilif Bremdal on Vimeo.

動画の中で聞こえている声は、実際にユディカ・コルディーヤ兄弟が録音したものです。ソ連が宇宙開発計画で使っていた周波数から拾いました。この音声は地球の大気圏に再突入しようとしていた、世界初の女性宇宙飛行士のものだとされています。ソ連政府はこの事故疑惑について何も認めませんでした。

録音の中で女性飛行士は、故障した宇宙船が燃え上がるにつれ、「熱い」と叫んでいるそうです。世界初の女性宇宙飛行士は1963年6月に軌道飛行を成功させたテレシコワですが、事実であれば、その2年も前にもうひとり別の飛行士が存在していたことになります。


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ユディカ・コルディーヤ兄弟はこの女性宇宙飛行士の通信以外にも多くの交信を傍受し、録音しています。軌道を逸れつつあるという有人宇宙船からの報告、地球の軌道から離れていくSOS信号、宇宙飛行士が窒息して命を落とすまでの交信記録、といったものです。これらの事故が実際に起きたものであるかどうかは分かりませんが、宇宙飛行士の孤独と恐怖が強烈に感じられますね。

インターネットなど影も形もなかった時代、人々の間には今よりもずっと広い空間が横たわっていて、宇宙飛行士はそうした場所を孤独に漂っている寂しさの代表格みたいな側面があったのかも知れません。動画の最後のあたりで、燃え尽きようとする女性宇宙飛行士と兄弟のひとりとが何万キロメートルかを隔てて偶然に見つめ合う、そこにまた人間の濃密な紐帯を感じたりもするのですが。


続報はこちら


wikipedia: Judica-Cordiglia brothers (英語)
via: vimeo / Nils Eilif Bremdal