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photo: wikimedia ヴォストーク宇宙船の帰還カプセル
アキレとジョヴァンニ・バッティスタのユディカ・コルディーリア兄弟 (Judica-Cordiglia brothers)。世界初の女性宇宙飛行士を乗せたソ連宇宙船が地球の周回軌道から帰還を試み、大気圏に再突入したものの、失敗して燃え尽きてしまった——そのありさまを手製の通信傍受施設で捉え、音声をテープレコーダーに記録していました。その過程を短編映画仕立てにした動画を昨晩はご紹介しましたが、音声そのものは背景に回っておりそれほどはっきりとは聞き取れませんでした。

今日は音声のみのファイルを発見しましたので、聞いてみたいと思います。ロシア語から英語への訳も付属していました。そこからさらに日本語へと訳してみます。しかしその前に、まずは音声動画の画面に表示される事件の背景について書き出してみましょう。


アキレとジョヴァンニのユディカ・コルディーリア兄弟によると、1961年5月16日、ソ連は世界で初めて女性を宇宙に送ることを試みました。当時、(有人飛行の面において) アメリカはまだ小さな衛生を弾道飛行させているだけでしたが、ソ連はこの女性宇宙飛行士に地球を17回周回させる計画を立てていました。しかしながら飛行中に何らかの不具合が生じ、地球への再突入は延期されねばなりませんでした。不具合の詳細は分かっていません。

酸素が残り少なくなってきたことから、5月23日に再突入が試みられました。再突入の過程で、ヴォストーク宇宙船は女性乗組員を乗せたまま損壊してしまいました。この音声はその宇宙飛行士の最後の数分間を捉えたものだとされています。宇宙飛行士は上昇する温度についてしきりに訴えています。帰還カプセルが炎に包まれるにつれて、女性宇宙飛行士は明らかに恐怖を感じており、感情的になって行っています。

3日後の1961年5月26日、ソ連のタス通信社は、23日に大きな無人衛星が地球の大気圏再突入に際して燃え尽きたという発表を行いました。衛星は街を走るバスほどの大きさでした。発射の際には何らの発表もされておらず、用途は謎のままとなっています。今日にいたるまで、この女性宇宙飛行士の件も含めて、ロシア政府は失われた宇宙飛行士が存在するという説を否定し続けています。

続けて、音声の日本語訳です。

5…4…3…2…1…1
2…3…4…5…
応答願います…応答願います…応答願います…
聞いて下さい…聞いて下さい!…応答願います!…
応答願います…応答願います…何か言ってください!
何か言ってください!…熱いです!…熱いです!
何ですか?…45?…何ですか?…
45?…50?…
はい…はい…はい…吸っています…
吸っています…酸素…
酸素…熱いです…(これ)
これは危険ではないんですか?…もう全く…
これは危険ではないんですか?…もう全く…
はい…はい…はい…これでどうですか?
何ですか?…何か言ってください…どうすれば
通信はどう? はい…はい…はい…
何ですか? これから通信を開始します…
41…こうすれば…これから
通信を開始します…
41…こうすれば…これから
通信を開始します…
41…はい…熱いです…
熱いです…もう全く…熱いのです…
熱いです…熱いです…熱いです…
…炎が見えます!…何ですか?…
炎が見えます!…炎が
見えます!…
熱いです…熱いです…32…
32…41…41…

落ちるのでしょうか…はい…はい…熱いです!
熱いです!…再突入します!…再突入します…
聞いています!…熱いです!…

なんとも痛ましい、と同時に背筋が氷るほど怖ろしい最期です。宇宙空間という手の届かない場所にたった一人でいる人物と、通信がつながっているということ。そこにつながりがあるということが逆に恐怖と孤独とを増幅させています。この感じ……と思って考えていたのですが、デヴィッド・ボウイの「スペイス・オディティ」も曲中で宇宙船に不具合が発生します……が、飛行士が自分の意志でしたことで事故ではないので少し違います。映画の「アポロ13」はハッピーエンドなので痛ましさはまったくありません。宇宙船には仲間が乗っていましたから、孤独でもありません。これはやっぱりウルトラマンのジャミラかなあと、そんな風に感じました。ソ連の失われた宇宙飛行士の話はなかなか興味が尽きないので、また追及してみたいと思います。

via: YouTube / PlasmaTwa2