bodie-state-park-ghost-town-interior-bedroom-door-wallpaper_l
Randy Weiner

二〇〇二年のことですが、親友と二人でしばらくメキシコで暮らす計画を立てました。最終的には、三ヶ月のバックパック旅行となりました。たくさんの思い出ができましたが、心霊現象にもいくつか遭遇しました。いろいろな意味で私たちには決して忘れられない旅です。

旅が始まって間もなくの頃ですが、私たちはグアダラハラの町の中心部に住むメキシコ人の友人を訪ね、その家に泊めて貰いました。大きな家で、寝室が五つか六つほどもあり、友人はそこに両親と兄弟姉妹と一緒に住んでいました。
友人一家は、どちらが広い寝室を使うか、私たちにじゃんけんで決めさせました。たまたま負けてしまった私は、狭い寝室を使うことになりました。まったく大した意味はなくて、外国人をはやし立てて場を盛り上げようといった趣向でした。

充実した一日を過ごし、寝る時間となったので、私たちはそれぞれの部屋へ引っ込みました。眠りに落ちてからどれほど経ったのでしょうか、夜中でしたが、目が覚めました。扉の左手に女性の姿をしたものが立っていて、じっとこちらを見ていました。何も話しかけては来ず、ただ私を見つめているのです。あまりに怖ろしくて、身じろぎもできませんでした。ようやく……何分か経っていたと思いますが、ベッドから跳ね起きると、一目散に親友の部屋へと走り、彼女の寝床にもぐり込みました。部屋で起きたことを話しましたが、ふざけているか、悪い夢でも見たのだろうと考えたようでした。

でも、聞いてください。翌朝、その家の友人によく眠れたか訊かれたのですが、本当のことを言うのが怖ろしくて、相手の顔をまじまじと見つめることしかできませんでした。彼はすぐに何かを察知して、「ミッシュ。これはとても大事なことなんだ。見たことを細大漏らさず教えて欲しい。僕は君という人を知っている。皆には見えないものが君には見えることも知っている。どうか洗いざらい教えて欲しい」と言いました。

そこで夜中に起きたことを話しました。話すうちに、彼がどんどん興奮していくのがわかりました。その女性は何か言ったのか、どこに立っていたのか、どんな姿をしていたのか、といった質問をたくさんしてきました。

できるかぎりの努力をして、すべてに答えましたが、そこで衝撃的な事実がわかりました。彼がこう言ったのです。「ミッシュ、君がじゃんけんに負けてあの部屋に泊まってくれて、本当に良かったと思う。というのは、あそこはもともと兄の部屋だったのだけれど、戸口に立つ女性のことをいつも言っていて、その描写というのが、君が話してくれたのとそっくり同じだったんだ」

残りの滞在期間は、ありがたく隣の部屋で親友と寝させてもらいましたが。

via:reddit
mishyann作・雪森深一郎訳