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九つ星の剣

ちょっと変な話なんだ。すごく怖いってわけでもなくて、奇妙な体験をしたというだけ。

一週間ぐらい前かな、夢を見たんだ。いつも僕は夢を見ないんだけどね。いままで一度も見たことがないか、まったく覚えていないか。でも今回は見た。
見た直後に内容を詳しく書いておけばよかったんだけど、疲れていたので、残念なことにそのままにしてしまった。だから今思い出して書いてみるよ。
僕は道を歩いていた。すると近くで事故が起きた。夜で、雪が降っていたけど、散歩したくなるような天気ではないし、何かがおかしいと考えていたのを覚えている。
夢だと気づいていたわけではないけどね。どこかに違和感があったんだ。自分が自分でないような。

で、事故だけど。ワンボックスか何かだったな。事故現場の一番近くにいた人間として、救助に向かった。細かいところは覚えていないものの、中年の女性がひどくやられていた。
どれぐらいひどくかは覚えていない。血は出ていなかったようだったけど、とても悲しそうにしているんだ。他の何よりも、その悲しそうなところを覚えている。

あまりにも悲しそうなので、何とかしなくてはという気持ちになって、身をかがめてその女性を助け出した。方法はよくわからない。医療とかそういったことは何も知らないし。
ただ助けたことだけを覚えている。そして僕は言ったんだ。「僕が九つ星の剣です」ってね。

それだけなんだ。とても奇妙な夢だ。ほとんど忘れかけていたんだけど、あの時夜中に書いたメモ——「九つ星の剣」——が出てきてね。それしか書き残していなかったんだ。でも見た途端、今話した夢を思い出すことができたよ。

by: SwordOLight
translation: Shinnichiro Yukimori
via: Reddit