Marcel_Christ_bigbang1
photograph: Marcel Christ
ニューヨークとアムステルダムを中心に活動する写真家マルセル・クライスト(Marcel Christ)による、爆発によりさまざまな色彩の粉塵が飛び散る瞬間を捉えた作品集です。マルセルは撮影対象の静物に命を吹き込む、その能力に長けている点に定評があります。「静物写真家は私の職業ではない。人生そのものなのだ」とマルセルは述べています。
もっとも、今回の写真に捉えられているような爆発は必ずしも静物とは言えません。バーンと粉が飛び散り、あっという間に消え去ってしまうでしょう。正しい色、組成、タイミングなど完璧に条件を揃えないと鑑賞に堪えうる写真は撮れないと思いますが、あるいはそのあたりはマルセルが大学で写真術と化学とを専攻したという、そうした背景も良い方向に作用しているのかも知れません。

Marcel_Christ_bigbang2
Marcel_Christ_bigbang3
Marcel_Christ_bigbang4
Marcel_Christ_bigbang5
Marcel_Christ_bigbang6
Marcel_Christ_bigbang7
Marcel_Christ_bigbang8
Marcel_Christ_bigbang9-610x610
Marcel_Christ_bigbang10
Marcel_Christ_bigbang12
Marcel_Christ_bigbang13
Marcel_Christ_bigbang14
Marcel_Christ_bigbang15
Marcel_Christ_Powders_Colours1
Marcel_Christ_Powders_Colours2
Marcel_Christ_Powders_Colours3
all photographs: Marcel Christ
条件を揃えると言っても、あらかじめ正確に計算はできないでしょうから、これらの爆発はそれぞれ一回きりの爆発であり、そこに現れた美しさはこの世に一回のみしか出現しない美しさです。しかしそれを写真に撮れば静物になるのです。一瞬であるとともに永遠、一回であるとともに無限。そのような相反する性質が一枚の画像の上で微妙な均衡を保っている、そのあり方は人間の記憶というものが持つ性質にもどこかしら似ているようで——眺めていると引き込まれそうになるのはそんなところにも理由があるのでしょうか。

via: My Modern Metropolis
via: marcelchrist.com